FUKUTEIのカレー

私のお店ではじっくり煮込んだ欧風カレーをお出ししています。

普通、カレーと言ってイメージするものとは少し違います。

家庭で作るカレーとはもちろん違いますし、

インド風のスパイシーなものとも違います。

じっくり煮込んだ欧風カレーです。

私が就職した先で見たカレーは自分の知っているカレーとは

ずいぶん違っていて驚きました。

美味しいのはもちろんですが、非常に色が濃く

濃厚なもので衝撃を受け感動したことを覚えています。

そこで学んだカレーを是非自分のお店でも

お出ししようと思いメニューに入れてみたら

お客様の反応が非常に良かったので、

私もうれしく思いました。

しかし、このカレー、仕込みが非常に大変なのです。

まず大量の玉ねぎのみじん切りを炒めるのですが、

あめ色になり水分がほとんどなくなるまで炒めます。

強火で炒めると玉ねぎの糖分などですぐに焦げてしまうので、

ごく弱火で木べらでなべ底をかき混ぜながら、

ただひたすら長時間にわたって炒めます。

この作業だけでも二日はかかってしまいます。

さらにいろいろな材料を入れて煮込んでいくわけですが、

仕上がるまでに1週間はかかってしまします。

保存性が高いので、これをある程度の期間で

使っていくわけですが、そんなにたくさんの量が

一度に仕込めるわけではないので、

たまたま注文が多く重なったりすると仕込みが間に合わず

売り切れになってしまいます。

一週間も仕込みにかかるとやはり大変ですし、

急に売り切れてもすぐにはできないので、もうカレーを

メニューから外そうと思ったこともありました。

しかしカレーをメニューから外すとカレーは無いのかという

お客さんが次々と現れ、しまいには

「今日はカレーを食べに来たから無いなら帰ります」

というお客さんまで出てきました。

気が付くといつのまにか随分とこのカレーが浸透していたのです。

※ちなみに私のお店ではカレー以外のメニューの方が圧倒的に多いのですが・・・

こうなるともう、いくら仕込みが大変でもカレーをメニューから外すことはできません。

私自身、初めて食べたとき感動したカレーですから、

求めてくださるお客様がいる限り

このカレーを作り続けていく事にします。

店主の道具

調理師を目指し就職したのが30年前。

料理人になろうと思いたち、調理師学校にも行かず、

何の知識もないまま、いきなりホテルに就職した。

就職した先の料理長に

「ちゃんとした料理人になりたいならまず自分の包丁を持て」

と言われた。

当然職場には包丁は十分にそろえてあったが、

教えられた通り、必要な種類の包丁を5本買った。

プロ用の包丁は高価で、当時の私にはかなりしんどかったが

「これで生きていくのだ」と決め、何とか買いそろえた。

それからは厳しい修業が続き何度か挫折しそうになったが、

いろんな人の助けがあり何とかつづけてこれた。

この包丁はその時買ったものです。

包丁は研いで使うものなので大事に使っていても

本来のサイズからはかなり小さくなってしまいました。

今では当然新しいものやいろいろな種類の包丁を買いそろえて

使ってますが、今でもたまにこの包丁を使います。

就職して最初に料理長に言われた

「ちゃんとした料理人になりたいならまず自分の包丁を持て」

という言葉を思い出し、

自分はちゃんとした料理人になれているのか・・・と自問しながら。

古びて小さくなった包丁ですが初心に帰ることができる大事な私の道具です。

時短営業のお知らせ

兵庫県の時間短縮営業の要請により

2021年1月14日~2月7日まで

夜の営業を短縮します。

■閉店 20時半→20時

■ラストオーダー19時半→19時

■酒類の提供は19時まで

とさせていただきます。